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  • 執筆者の写真筏井哲治

令和2年度高岡市の歳入を見てみよう


令和2年度高岡市一般会計歳入の内訳

令和2年3月26日に高岡市議会3月定例会が閉会し、無事に令和2年度の予算が可決されました。高岡市は小さな地方都市ですが、それでも一般会計と特別会計合わせて1300億円規模です。そのお金はどうやって工面しているのか見てみようと思います。


高岡市の予算

一般会計 660億3545万3千円(+0.6%)

特別会計 641億2147万7千円(-0.3%)

合計 1301億5693万円(+2億2651万9千円:+0.2%)


令和2年度当初予算の一般会計は、令和元年度に比べ +2億2651万9千円で、660億3545万3千円となりました。これまで三年連続で昨年対比予算減を達成してきましたが、今年度は+0.6%となりました。


これは財政健全化という視点では、ダメなのかもしれませんが、市の意志として予算を執行すると決断したわけで僕はそれを尊重したいと思います。特に、子供子育て関連や福祉関連、学校教育など大切なところをケチらずにちゃんと力を入れるんだという意味でとても素晴らしいことだと思います。


市税収入は…減るよね

一方、市税収入はまたまた減額となりました。人が減っているので仕方ないと言えば仕方ないのですが。今年、富山県の人口は103万人となり48年前と同じ水準まで減少しました。2015年の国勢調査で106万人いた県民は26,000人減少しました。悲しいことに高岡市(16万7000人)は4809人減であり、これは人口が高岡市より遥かに多い富山市(41万5000人)の3797人減よりも大きいということになりました。


令和元年度 255億9967万円

令和2年度 255億2840万円(-7126万円:-0.3%)


地方交付税はほぼ据置き

国から配分される地方交付税は、令和元年度の交付実績をベースに算出されるわけですが、概ねほぼ横ばいになる試算となっています。


令和元年度 91億2900万円

令和2年度 91億3900万円(+1000万円)


市債はちょっと増額

とは言え、歳入全体に占める市債費は8.6%とほとんど限界ギリギリでやっている感じです。ここまで市債の発行を厳しくするとなかなか新しい政策を実行するのは難しくなり、なにか行うにしても中途半端になってしまうのではないかと心配になります。


令和元年度 53億5800万円

令和2年度 56億7280万円(+3億1480万円:+5.9%)


臨時財政対策債ってなんだ

臨財債は国が本来地方交付税として出すべきものですが、無い袖は振れませんということで、代わりに地方債を特別に発行することを許可し、財源に充てる市債です。将来的には地方交付税で補填される予定です。


令和元年度 22億1560万円

令和2年度 21億9700万円(-1860万円:-0.8%)


市債残高は順調に返済

市債の返済も積み上がれば、歳出におけるその返済分の比率が大きくなります。高岡市に積み上がった市債残高はまだまだ大きいですが、必死に減額しようあの手この手を使って減額しようと涙ぐましい努力を重ねており、その結果、市債残高は確実に減ってきています。赤字解消に苦労している今、急いで返済することがベストなのかどうかは、ちょっとわかりませんが…まぁ、気分的に借金は減らしたいですかね。


平成30年度 1111億5200万円

令和元年度 1103億7600万円

令和2年度 1074億4500万円


財源が年々縮小する現実

歳入を見てみましたが、そもそも高岡市はキャッシュインが年々減っているという苦しい状況にあります。全国の地方自治体と同じく昭和40年代、50年代に建設された道路や上下水道などのインフラが老朽化し、次々と更新時期を迎えています。高齢者も激増し、特に高齢者二人暮らし、一人暮らしも増えており、医療や介護にかかるお金も年々増えています。そのようなこれまでにない少子高齢化社会にあって、歳入を増やす手段は2つしかありません。それは地方交付税交付金など国庫支出金を増やすこと、もう一つは市債を発行することです。この2つがほぼ固定されているので、打つ手は支出を減らす以外にないということになります。


これまでの高岡市の財政について反省点がなかったかと言えば、そりゃあると思います。しかし、悪意を持って無駄遣いをしたり、捨てたりしたかというとそんなことはありません。むしろ、多くの地方自治体が金をケチり、市民サービスを削減しているところに、高岡市は市民のために金を使い続けたわけで、僕はむしろそのことを誇りにさえ思います。


国は地方創生に本気で取り組むべき

多くの市民が、高岡市が財政赤字になっていることについて批判をしまくっていますが、そもそも財政が黒字になるというのは一体どういうことでしょうか。歳入が増えない以上、儲からない公共サービスは全部切り捨るしかありません。そもそも学校や福祉施設、公民館など儲けようもない施設が大半なので、とにかく統合再編、譲渡・廃止ということになります。時代に合わせて公共施設のあり方は変わっていくべきだとは思いますが柔軟性がないのは悲しい限りです。高岡市は財政赤字ですが、全国どこの市町村も苦しい中なんとか財政をやりくりしているのが現状で、基本的には緊縮財政を強いられていると思います。それもそのはずです、だって政府が、総務省、財務省がケチなんですから。


地方に出す金を削り続け、その結果、赤字になった地方自治体を血祭りに上げるのは、やり方として本当に正しいのでしょうか。失敗しても国がケツを持つから、地方自治体はそれぞれに金を使って新しい取り組みをやれ!それこそが地方創生のきっかけになる!というべきじゃないのでしょうか。


でも、実際には高岡市のように下手に挑戦して赤字に転落したら、全国ニュースで吊るし上げられ、まるで懲罰のような財政健全化プログラムが発動され、それが終わった後も、新規投資的経費の計上は相当厳しいでしょう。財政の健全化は市の発展と引き換えにするものなのでしょうか。


マクロ経済的な視点で見たら、実は新高岡駅が現駅と分離したとか、その他あれやこれやというのはほとんど些細な問題(もちろん市民からすれば大きな問題ですが)です。そんなことよりも、激しい少子高齢化で地方が弱体化(民生費が増大)していくのを知りながら、地方に貧しくならざるを得ないような苛烈な緊縮財政政策(国庫支出金、地方交付税交付金の縮小)を行っている国の方がよっっぽど大きな問題で、そんな国が、声高に地方創生だ、東京一極集中是正だと言うのは、あべこべな感じがしませんか。口だけの地方創生ではなく、国としてちゃんと財政出動をする、交付金を増額する、というような実弾の投入が必要なのではないでしょうか。


ちょっと熱くなり過ぎましたが、次回は歳出についても見てみたいと思います。


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